障害者福祉事業 新着情報

楽しい実践につながっていくために ~”いま”の中で見えてきたことを手がかりに~

2020-04-25

新型コロナウィルス感染拡大による緊急事態宣言で、

各分野に外出自粛と休業要請が求められるなかで、

子ども・障害者・高齢者のいのちと生活を守る支援に従事されているみなさまがた、

たいへんご苦労さまです。

 

社会福祉法人コスモスの各事業所では、とくに障害者作業所を中心にして、

これまで発達検討会として事例検討をすすめ、支援の向上を願ってきました。

 

 

しかし、そのことが若手職員の人材育成への期待となる反面、

若手職員の新たな負担となり、

受け身的または形式的になってしまうことも多く感じられました。

そこで、昨年末からコスモス研究所として、障害者作業所をはじめとした検討会について、

2020年度は各事業所が希望する検討会を描いてほしいこと、

つまり実践が楽しくなるための検討会をしようと呼びかけさせていただきました。

そして、4月からの新年度に検討会の計画を立てようとしていました。

 

 

ところが、1月後半から新型コロナウィルスの感染が世界中に拡大し、

この日本や大阪では4月後半に至った現在では、

新型コロナウィルスの感染拡大が収まりをみせるどころかさらに深刻な状況になっています。

2020年度の検討会の企画は、いましばらく延期して、

年度計画の検討ができる時期まで待ちたいと思います。

 

 ・グループホームを利用し作業所に自力通所しているAさんは、

  親しい仲間が作業所を休所して自宅ですごし始めたことで、

  自分もホームで自粛したいと訴えたところ受け入れてもらえず苛立った姿をみせている。

 

 ・作業所に通うBさんは自宅で自粛生活に入ったけれど、

  周りの状況が知りたくて幾人もの旧知の職員に電話をかけている。

 

 ・知的にも肢体にも重度の障害をもつCさんは感染予防のため自宅ですごしていますが、

  家族は散歩やドライブなどの日課を工夫している。

 

 ・グループホームでキーパーとして働くDさんは、感染の不安を持ちながらも、

  自らの収入を得ることと利用者の生活を守る使命感でがんばっていることなど、

 

仲間も家族も職員も不安の中ですごしているエピソードが研究所にも僅かながらも入ってきます。

 

 

いまの現場では、日々たくさんのエピソードであふれていると思います。

 ・子ども・障害者・高齢者の新型コロナウィルスへの不安や、

  これまでと違う日常に変わったことへの戸惑いと不安の姿。

  一方でそうした不安をつながり合いの中で乗り越えていこうとするきらりと輝く姿。

 

 ・感染防止のためにやむをえず利用児・者を自宅で自粛させ、自律ある毎日を模索する家庭や家族の営み。

  一方で、収入がなくなった家族、高齢な親、

  家庭で適切な距離がとれずに虐待やDVのリスクの高まる家族の様子。

 

 ・感染防止の配慮などで緊張して毎日の実践にとりくむ職員の心情。

  自らの感染への不安や日常生活での心がけ、家族への気遣いなど、

  愚痴や不満も含めた職員間の交流。

 

 

こうしたエピソードを、ぜひ職員全体で交流と共有をしあってほしいと思います。

急にいつもと違う生活になり、見通しがもてなくなった。

あたりまえの生活ができなくなった。

そんなところに、利用児・者のねがいや要求が様々な形で表れてくるのではないでしょうか。

家族にとっても、職員にとっても同じことがいえるのではないでしょうか。

“いま”の中で見えてくることが、実践の指針や課題になることだと思います。

さらには、利用児・者、家族、職員同士のリスペクト(尊敬)にもつながるものだとも思います。

 

2020年度の検討会を企画する際には、

“いま”の中で見えてきたことを手がかりにして、それを検証してみませんか。

仲間のこと、家族のこと、職員同士のことが分かり合える、

楽しい実践につながる検討会ができるのではないかと期待します。

 

 

 

                                                   2020年4月20日

 

コスモス研究所 中村清隆